2006年07月23日

胸を張れる勝利

 (引用開始)

<高校野球>監督が故意の三振指示 秋田大会準決勝

 秋田市の秋田県立こまちスタジアムで22日に行われた第88回全国高校野球選手権秋田大会準決勝の本荘―秋田戦で、大量リードした本荘の尾留川徹監督が七回表、雨天ノーゲームを避けるために、打者に対して故意に三振するよう指示した。県高野連は同日、同校野球部に対しフェアプレーをするよう指導し、始末書提出を求めた。
 問題のプレーは、本荘が12―1とリードした七回表の攻撃中、1死二塁の場面で起こった。県高野連によると、尾留川監督が打者に三振するよう指示、打者は明らかなボール球を空振り三振した。県高野連は、本荘の野球部責任者を呼び「アンフェアなプレーがないように」と指導した。しかしその後、三塁に進んだ走者も本盗を狙ってタッチアウト。七回裏の秋田は無得点で、本荘は七回コールド勝ちした。
 県高野連は試合終了後、本荘に対して始末書提出を求めた。秋田の佐藤幸彦監督は試合後、「負ける以上の屈辱だ。最後まで正々堂々とやりたかった」と怒りをあらわにしていた。

 (引用終了)

 これを見て『ONE OUTS』を思い出したのはあたしだけじゃないだろう(笑)。

 まず、これは毎日新聞の記事だが、12−1で負けている秋田高校が、雨天ノーゲームを狙って時間稼ぎをしていた事は書かれていない。この時点で作為を感じる書き方になっている。
 秋田高校は雨天ノーゲームになれば(12−1からの再開ではなく)また0−0からの再試合だから時間稼ぎをし、そして明日の試合にエースが疲れていない状態で登板できるようにマウンドには1年生を送った。その秋田高校の行為についてはなんら触れられておらず、秋田高野連も何も言及していない。もし本荘高校に始末書の提出を求めるならば秋田高校はそれ以上の処分があってもいいはずなのだが。

 この記事(つまり県高野連の行為)にはまず突っ込みどころがたくさんある。まず
>明らかなボール球を空振り三振した
 ことが「アンフェア」だそうだが、だったら一塁走者の盗塁を助けるためにわざと空振りすることもいけないのだろうか。ヒットエンドランのサインが出た時にバッテリーがそれを読んでウェストさせた(わざとボール球にさせること。また同時にキャッチャーも1塁ランナーを刺しやすくなる)ボールに喰らいついてなんとかバットに当てようとしたが空振りしてしまった場合もいけないのだろうか。一所懸命ボール球に当てようとしたのに、力及ばず空振りしてしまった打者は秋田高野連的にはアンフェアなのだそうだ。もしこんなことがアンフェアなのならば敬遠はどうなのだろうか。盗塁はどうなのだろうか。試合終盤に勝っているチームのピッチャーが次の回の投球のためにわざと空振り三振することはどうなのだろうか。隠し球は?ノーアウト1塁、小フライをノーバウンドで捕らず、わざと落としてダブルプレーを取る行為は?同点の9回裏ワンナウト3塁。レフトへの大きなファールフライ。捕れば当然タッチアップで負けになる。そんな時わざとファールを捕らない行為は?そもそも全力でバットを振らずバットにボールを当てるだけのバントは。

 この試合はまさにONE OUTSと同じで、7回12−1で雨が降ってきた時点で勝っているチームは『いかにアウトを取られるか(つまり出来るだけ早く試合を進行できるか)』、負けているチームは『いかにアウトを取らないか(いかに時間を稼げるか)』の戦いになっていたんだよ。で、秋田高校は実際時間を稼ぎにきた。これは正しい。7回裏の攻撃だけで1−12から逆転(最低同点)することよりも、明日の再試合で(しかもこちらはエースを温存している)1回から0−0で始めたほうがはるかに勝率は高い。だから時間稼ぎと言う作戦を(更にはエース温存で1年生をピッチャーに送った作戦を)選んだのは悪くないと思う。だが同時に、その作戦を取った場合には相手が逆に時間短縮のための作戦を取った時にどう考えても相手を非難できないという立場に立つということを理解していない(でも一方だけが時間稼ぎ、或いは時間短縮作戦を取ったとしても非難される筋合いは無い)。それを試合後に、
>「負ける以上の屈辱だ。最後まで正々堂々とやりたかった」
 なんて言うのはみっともないの極致。お門違い筋違いもいいところ。羞恥心という言葉を知らないのだろうか。どう考えても一番の屈辱は12−1でしかない。後はお互い『正々堂々』戦ったのだから。いや、監督がこんなことを言ったのを知った秋田高校の生徒が一番屈辱を感じているのかな。

 またこの監督は本荘高校は勝つために全力を尽くして(しかも正々堂々。まあ、でもまだこれ以上に有効な作戦はあったが)戦ったのに、自分の高校がまだ余力もあったし、他に執るべき作戦があったことに気づいていない。相手がわざと三振してくるのならば投球する時にボールを相手に投げず、投球動作に入ってからその場に落とせばいい。そうすればバッターはボールを振ることが出来ない。同時にボークも取られるからランナーは進むし、ランナーがいなくなれば打者が塁に出る。バッターにボールを振られる心配も無い。
 ではそうなった時打者はどうするか。ピッチャーが投げた時にバッターボックスを代わればいい。ピッチャーが投球動作に入ってからバッターボックスを代わる行為はアウトである。ピッチャーが落球する前にアウトになれるのだ。
 では次にピッチャーはどうするのか。ピッチャープレートを踏まずに投げればよい。ピッチャーがプレートを踏まずに投げる行為は反則である。つまりボール1。で、当然それが続けばフォアボールになる。とまあここまで殆んどONE OUTSの通りに書いたが、つまりはここまで時間を稼ぐための方法はあったのだ(ちなみにこのフォアボールのランナーがアウトになるには1塁へ進まず3塁へ進めばアウトになる)。その努力を放棄して負けておいて屈辱とはどの口が言うのか。少なくとも万策講じたとはとてもではないが言えない。この試合はONE OUTSの主人公渡久地の至言が言うように、『これは頭脳のバトル。より高度な反則をしたほうが勝ち』だったのだ。当然ながら野球は頭が良くなければいけない。その頭を使うことを放棄したチームが敗れる。そして相手より頭を使ったチームが勝つ。極めて当然の帰結だったのである。

 P.S. 本荘高校優勝したみたいですね。本当におめでとう。甲子園でも変な雑音があるかもしれないが全力で頑張ってもらいたいです。あなた達は誇りある勝者です。
posted by AZ at 18:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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